これから初めて中国に留学するという方は中国留学について分からないことだらけだと思います。そんな中国留学ビギナーの方に費用や入学資格、入学時期など、基礎の基礎から詳しく分かりやすく説明します。
中国語を勉強する語学留学の場合、次の3つの種類があります。
最も一般的なのは長期留学で、1学期または2学期間留学する方が多いです。大学を休学したり会社を辞めて留学する場合も長期留学がほとんどです。
長期の休みが取れないといった理由で短期留学をされる方もいらっしゃいます。長期留学のクラスに数週間だけ途中参加したり、クラスには加わらないでマンツーマンレッスンを受けることもできます。また、都市部の大規模校では夏休みや冬休みに短期講習を開講する場合もあります。
中国の大学の卒業資格を取るのが本科留学です。入学試験を受けて合格し、4年間勉強して必要な単位を取得し、卒業論文を書いて卒業資格を得ますので、日本の大学に入学するのと基本的に同じです。4年間かかりますので高校卒業後に入学する方が大半です。
本科留学や大学院留学などの場合には高卒、大卒などの資格が必要ですが、卒業資格を得ない普通の語学留学の場合は、ほとんどの大学が入学資格や条件を設けていません。入学申請書を提出すれば誰でも留学できます。
年齢については条件をつけている大学が最近では増えてきました。大半の大学で上限は60歳で、65歳や70歳を上限としている大学はごく一部です。学歴条件をつけている大学はほとんどありません。あっても高校卒業です。
1学期や2学期の普通の語学留学の場合は入学試験はありません。入学申請書を提出して学費を払えば誰でも入学できます。
入学して最初に「分班考試」というテストがありますが、これはその名の通りクラス分けをするためのレベルチェックです。このテストの成績が悪いからといって入学許可が取り消されることはありません。
普通の語学留学であれば上述の通り学歴条件も入学試験もありませんので、中国語をまったく勉強したことがない方でも中国の大学に留学することは可能です。ただしおすすめしません。
中国語力ゼロで入学すると当然一番下のクラスに入ることになりますが、このクラスは欧米やアフリカなど非漢字圏から来た留学生がほとんどです。彼らをメインターゲットとした授業展開になりますので、「山」という漢字の書き方や意味の説明など、日本人にとっては退屈な授業内容となります。だからといってそれを知らない学生がほとんどなのですから、知っている少数派の日本人に合わせて授業をしてくれることはありません。
ですので、中国語ゼロでもなんとかなる!といった甘い考えは持たずに、留学する前に日本でしっかり勉強し、最低でも下から2番目のクラスに入れるようにすることをおすすめします。
中国の大学は学期制ですので、語学留学の場合も基本的に学期スタートの時期に合わせて入学することになります。中国は春学期と秋学期の2学期制で、春学期は2月下旬から3月上旬、秋学期は8月下旬から9月上旬にかけてスタートします。ですので、日本人が語学留学で中国の大学に入学するのもこの時期となります。
また、一定の条件を満たせば新学期がスタートしたあとでも途中編入できる大学があります。「中国留学情報」ではこの途中編入のお手続きを行っています。詳しくはこちらをご覧ください。→ 学期途中からの留学
人それぞれですが1学期または2学期間留学される方が多いです。可能であれば2学期間留学されることをおすすめします。
ネット上で半年留学や1年留学といった言葉が使われているため誤解しやすいのですが、中国留学では1学期=6ヶ月ではありません。1学期の間で実際に授業が行われるのは4ヶ月程度です。
留学したばかりの頃は授業中に教師が話す中国語もよく聞き取れません。授業にある程度慣れてついていけるようになるまで、1~2ヶ月はかかります。ですので1学期=4ヶ月留学ではようやく慣れた頃には留学期間が半分近く終わっていることになります。
ですのでお金と時間がなんとかなるのであれば、1学期ではなく2学期間留学されることをおすすめします。どうしても1学期間しか留学できないならば、日本で十二分に勉強してから留学すべきです。
学費や寮費、現地での生活費、往復の渡航費などすべて含めると、ざっくりですが2学期間で100万円です。もちろん、留学する地域や大学によって変わってきます。おおまかに言うと、
が一般的な傾向です。
普通の語学留学の場合の学費は一番安い大学で5,000元、高い大学だと10,000元を超えます。平均すると7,000元くらいです。
学費の他にも次のような費用があります。
学費ばかりに注目する方が多いのですが、留学にかかる費用の中で最も割合が高いのは学費ではなく寮費です。ですので留学にかかる総費用を抑えたいのであれば、学費以上に寮費に注目してください。
中国全土で数百校の大学が留学生を受け入れています。語学留学=外国語大学、教育だから師範大学、外国人受け入れだから有名大学、などと決まっているわけではありません。
現在では中国のほとんどの大学が校名に関係なく総合大学ですので、工業大学や林業大学、水産大学といった校名の大学でも語学留学生を受け入れています。また、入学資格や条件はどこの大学でもだいたい同じです。
「自分にあった大学」です。
留学する人それぞれに目的や事情、背景があり、人それぞれそれらが違うのですから、人によって留学すべき大学は違って当然です。非常に重要なことですのでよく覚えておいて欲しいのですが、誰にでも共通の「オススメの大学」なんてものはありません。
ですので、自分が留学に求めるものを明確にし、それに合った大学、他の誰でもない自分に合った大学を選ぶことが留学成功の必須条件となります。大学選びのポイントは、
ことです。大学選びについてはこちらのページも参考にしてください→ 大学の選び方
春学期から留学する場合は前年の12月上旬、秋学期の場合は6月上旬頃をおすすめします。
「中国留学情報」の留学お手続き代行をご利用いただく場合は、1月上旬、7月上旬にお申込みいただいてもほとんどの大学で間に合います。ただ、中国に留学する外国人が世界中で増えているため、以前に比べて留学生寮の予約が埋まるのが早くなっています。このため、お手続き自体は間に合うのに寮の予約が取れないというケースが以前よりも増えています。
中国に留学するにはビザが必要です。留学期間が1学期間の場合はX2ビザ、2学期間以上の場合はX1ビザを取得します。
ビザは中国に出発する前に取得します。ノービザで入国後にXビザを取得したり、観光ビザで入国してXビザを再取得することはほとんどの地域でできません。
大学によって異なります。中国教育部(日本の文部科学省に相当)はすべての留学生は中国の保険会社の海外保険に加入しなければならないと定めているのですが、実際の運用としては大学ごとにバラバラで、次の3つのパターンがあります。
Aの場合は日本の海外保険に加入していても中国の海外保険に絶対に加入しなければなりません。いかなる事情があろうと本人の希望に一切関係なく強制加入です。それが嫌ならばその大学には留学できません。
中国の保険は1学期の保険料が300元程度ですので補償内容は無いに等しいです。このため、日本の保険に加入してから中国に留学する方がほとんどです。
できます。中国に留学中に転校する、つまり、1学期目と2学期目で留学する大学を変えることができます。例えば次のようなことができます。
大学を休学して中国に留学すると、卒業時期が半年または1年遅れます。ですが、提携校への留学や単位認定制度を使った留学の場合、留学期間も在学期間にカウントされる、つまり、中国に留学しても4年で卒業できる大学が増えています。
大学によって制度の内容が異なりますので、在籍中の大学の学生課や国際交流センターなどに確認してみてください。
最もオーソドックスなのは次の4科目です。
これ以外にも作文やHSK対策、さらにはビジネス中国語などがある大学もあります。
授業は基本的に中国語だけで行われます。たまに授業中に英語を使う教師もいますが主に使うのは中国語です。日本語で授業を行う大学はありません。
最初のうちは教師の話す内容がほとんど聞き取れずかなり苦労します。ですがそうやっていくうちに徐々に聞き取れるようになってきます。聞き取れない中国語を必死に聞き取ろうとする行為自体が中国語習得のための勉強だと思ってください。
もちろんできます。ですが一般的な日本人にとって、他の多くの学生が見つめる中で質問するのはハードルが高いと思います。そういう方はできるだけ1クラス人数が少ない大学を選ぶのが良いでしょう。
上に挙げた勉強系の科目以外に選択科目というものがあります。午前中は勉強系の科目があって、午後に選択科目があるという大学が多いです。選択科目には太極拳や二胡の他に、中国画や書道、篆刻、切り紙などの文化系科目や、発音矯正、HSK補講といった勉強系科目などがあります。
ただし、多くの選択科目を毎学期コンスタントに開講しているのは都市部の大規模校だけです。それ以外の大学では数科目しかなかったり、特に地方の中小規模校では選択科目自体がないことが多いです。
こればかりは人それぞれです。語学は積み重ねですので、話せるようになるかどうかは留学した期間ではなく、どれだけ勉強したかその量によります。1学期留学すれば誰でももれなくこのレベルまでは話せるようになるといった保証はありません。
一般論として言えば、日本で中検3級に余裕で合格するレベルまで勉強し、中国に留学して1学期間遊びに手を出さずに必死に勉強すれば、日常生活で不自由しない程度のレベルにはなれます。しかし、複雑な表現を使ったり、仕事で使えるレベルにまで持っていくのは厳しいです。
特に日本人は他の国の留学生に比べてヒアリング能力がなかなか伸びない傾向にあります。これを伸ばすには中国人と話す機会を増やすしかありません。ついつい日本人同士でつるんでしまいそうという方は、日本人が少ない大学を選ぶと良いでしょう。
簡単ではありません。むしろ非常に難しいです。中級レベルまでの文法を日本にいる間に完全にマスターし、そのあとで中国に留学し1年間ひたすら死ぬ気で勉強すれば、現地採用で働ける程度のレベルにはなれます。
もちろん、各業界で使う用語、言い回しというものがありますが、それらは実際に働きながら身に付けていけば良いでしょう。
普通の語学留学では5年留学しようと10年留学しようと大卒の資格にはなりません。入学試験もなく単位取得もないのに、ただ中国語を勉強しただけで大卒になれるほど世の中甘くありません。「留学が終わったら証明書を大学が発行する」といっているところがありますが、それは1学期なり2学期なり中国語を勉強したという事実をその大学が証明する「修了証」です。それがもらえたからといって大卒になるわけではありません。
語学留学ではなく本科留学であれば大卒資格になります。ただし、入学試験に合格して入学し、4年間勉強して必要な単位を取得し卒業論文を書いて卒業認定される必要があります。
また、学校教育法の定めにより中国での大学卒業は日本で法的に大学卒業とは認定されません。ですので日本の高校を卒業後に中国の大学に留学して卒業しても、日本国内では法的には高卒のままで大卒とはなりません。ただし、就職においては日本の大卒と同等に扱う企業が増えてきているようです。
ほとんどの留学生が学内の留学生寮に住みます。また、多くの大学が学外に住むことを認めていますので、2学期目から自分でアパートやマンションを借りて住む人も多いです。
沿海の大都市なのか内陸の中小都市なのか、1人部屋なのか2人部屋なのかで寮費は大きく変わります。平均値としていうと1人部屋1日の寮費は、沿海大都市で80~120元、内陸中小都市で40~70元、2人部屋はそれぞれその半額です。
寮費は中国留学で最大の支出項目です。渡航費も含めた留学にかかる総費用の30~50%が寮費です。ですので、費用を少しでも安く済ませたいならば、できるだけ寮費が安い大学を選ぶことをおすすめします。
8~10畳くらいの部屋にベッドと机が2つずつある。これが2人部屋です。ホテルのツインルームをイメージしてください。そしてこれを1人で使うのが1人部屋です。
バストイレは各部屋にあり、洗濯機やキッチンは寮全体で共用という大学が多いです。ホテルタイプの寮を除いてバスタブは付いておらずシャワーだけです。またトイレは洋式が増えてきましたが、まだ和式のところも多いです。ウォシュレットはありません。
なお、一部の大学では2LDKのアパートに2人で住み、個室はそれぞれで使いキッチンやバストイレは2人で共用するルームシェアタイプの寮もあります。
日本の大学と同じで学内に学食があり、留学生も中国人学生と一緒に学食で食事をします。また、大学の周辺には学生相手の安い食堂もたくさんあります。
寮にキッチンがあれば自炊することも可能ですが、共用のキッチンは衛生面などがしっかり管理されているところは多くありません。上述のルームシェアタイプの寮であれば自炊しやすいでしょう。
どういったところで何を食べるかによって大きく変わってきます。3食とも学食で食べるならば1日20~30元もあれば十分です。
テレビや新聞が報じることをそのまま真に受けていたら心配になるかもしれませんが、マスコミが報じるのは世の中のあらゆる事実の中の際立ったごく一部の事実だけです。それを見て中国の食品はすべて危ないと判断するのは、広島の旅館で食中毒が起こったと聞いた中国人が日本の旅館はすべて危ないと判断するのと同じです。
中国全土の大学には全部で3千万人近い中国人学生と30万人以上の外国人留学生がいて、そのほとんどが毎日大学の学食で食事をしていますが、食中毒で学生が死んだという話は聞いたことがありません。
もちろん、油を多く使うなど日本の食事との違いがありますので、中国に来てしばらくの間は下痢気味だったといった程度のことはよくあります。ですが命に関わるほど中国の食の安全のレベルが低いわけではありません。
学食で日本料理が出る大学は皆無です。ですが、省都クラスの大都市であれば必ず数件は日本料理店があります。また、上海など日本人が多い都市には日本人向けのスーパーがありますし、イオンやイトーヨーカドーなど日系のスーパーでは日本の食材を購入することもできます。
ほぼすべての大学の留学生寮でインターネットが使えます。料金は1ヶ月30~100元くらいの大学が多く、無料の大学もたくさんあります。ただし、速度は日本に比べると遅いです。
留学生でも中国の携帯電話を購入できます。ほぼすべての中国人学生と留学生が携帯電話を持っており、中国での留学生活では携帯電話は必需品です。
日本ではドコモやソフトバンクといった携帯電話会社の加入権と携帯電話本体がセットで販売されますが、中国ではそれぞれ別々に購入します。利用したい携帯電話会社のSIMカードを購入し、家電量販店などで購入した携帯本体にセットして使うという形です。家電量販店でSIMカードと本体を一緒に購入することもできます。
現在では売られている本体はほぼすべてがスマホです。数百元の安い端末もありますし、iPhoneやアンドロイド端末ももちろんあります。
留学生寮に共用の洗濯機があります。1回の使用料は3元のところが多いです。乾燥機が付いている寮もあります。
ほとんどの大学で学内に病院か診療所があります。また、上海、北京などには日本語を使える病院もあります。
大学と市の中心部や繁華街を結ぶバスが頻繁に走っています。バス代は1~2元です。また最近では地下鉄がある都市も増えてきています。
「日本と同じくらいに危険で、日本と同じくらいに安全」です。中国で暗い夜道を真夜中に女性が1人で歩いていると日本同様に危険です。昼間に歩くぶんには日本同様に安全です。普通に留学生活を過ごしている限りにおいては安全度、危険度ともに日本とほとんど変わりません。
もちろん犯罪発生率のデータを見ると日本よりは高いです。しかし、アメリカやイギリスなどに比べるとはるかに低いです。