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大学の選び方

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留学の成果は大学選びで決まる!

中国の大学はどこも同じではありません。それぞれの大学に違いがあり、どの大学に留学するかで得られるものが変わります。また、留学生が大学に求めるものも人それぞれ異なります。同じ大学でもある人にとってはベストで、またある人にとってはワーストです。

数ある大学の中から他の誰でもない自分に合う大学はどこなのか、自分にベストな大学を探し出すのが大学選びです。どれだけ自分に合った大学を探し出せるかで留学の成果が決まる、つまり、留学の成果は大学選びで決まると考えてください。

失敗する大学の選び方

正しい大学の選び方の前に、こういう選び方をすると失敗するダメな選び方をご紹介します。

知名度・偏差値が高い大学

有名大学、入試難易度が高い大学が良いと考えるのは完全な間違いです。外国人が日本語を勉強するならば東京大学に留学するのが良いと言っているようなものです。

確かに東京大学は知名度、偏差値ともに日本で最も高い大学です。ですがそれは経済学や医学など専門分野において東京大学が優秀だからであって、日本語教育において東京大学が優れているわけではありません。

それと同じで北京大学や清華大学は中国の最高教育機関ではありますが、両校ともに中国語教育の専門機関ではありません。ですので、有名だから偏差値が高いから中国語を勉強するのにも最適だというのは明らかに間違いです。

外国語大学・師範大学

外国語大学は中国の学生に外国語を教える教育機関であり、師範大学は各種教員を育成する教育機関であって、ともに外国人に中国語を教える専門機関ではありません。ですので、これらの大学が外国人に対する中国語教育の豊富なノウハウを持っていて、中国語を勉強するのに適しているという考え方は誤りです。

ただし、これらの大学には「対外漢語専業」という外国人に中国語を教える教員を養成する学科があります。ですので、その学科の学生をアルバイトの家庭教師に雇うという理由でこれらの大学を選ぶということであれば妥当な選び方です。

また、互いの言語を教え合う互相学習の相手として日本語学科の学生を確保しやすいというのも妥当な理由です。ですがその場合は日本人留学生の人数と日本語学科の中国人学生の人数のバランスを考慮する必要があります。

おすすめの大学と書かれていた

留学系サイトなどでおすすめと書かれていたのでその大学を選ぶというのは愚の骨頂です。なぜならばそれらのサイトでおすすめの「基準」が明示されていることが皆無だからです。何を基準におすすめと言っているか分からないのに、なぜそのおすすめを受け入れることができるのでしょうか。

例えば、「日本並みの便利な生活ができる」という理由で上海の大学をおすすめしていたとしましょう。この大学は留学中に日本並みの生活をしたいという方には確かにおすすめですが、生活費などを安く済ませたいという方には物価が最も高い上海の大学はおすすめではなく最悪です。

また、「小規模校で1クラス人数が少ない」という理由でおすすめされている大学は、太極拳や二胡など授業以外の選択科目を楽しみたいという方にはまったくおすすめできない大学です。なぜならば小規模校では選択科目が開講されないのが一般的だからです。

このようになぜおすすめなのかその基準を明示していない「おすすめの大学」をそのまま信じて留学先として選ぶのは自殺行為です。

大学の先輩が留学したから

仮にその先輩にとってその大学が良い留学先だったとしても、あなたにとっても良い留学先である保証はありません。

例えばその先輩が北京の大学に留学し、生活も便利だったし遊ぶところも多くて楽しかった、それで良い留学先だったとします。ですが、もしあなたが気管支が弱いのであれば、冬の乾燥が厳しい北京の街は留学先として決して良いとはいえないはずです。

留学した人のブログや体験談で評価が高かった

なぜ評価が高いのか、どんな点が高く評価されているかをしっかり調べる必要があります。

例えば、運動会など行事が多くて楽しいし、日本人がいないので中国語を使う機会が増えたという2点で高く評価されていたとしましょう。この大学は1学期しか留学できないので勉強だけに集中したいという人や、日本人がまったくいないのは心細いという人にとっては決して高く評価される大学とはいえません。

ブログや体験談を参考にするなというのではありません。ですがそれらはあくまでも自分とは違う他人の価値基準、判断基準で書かれています。ですからそういったものを読む際にはそのまま鵜呑みにするのではなく、なぜ評価が高いのか、どういった点が評価されているかまでしっかり読み込む必要があります。

友達の中国人が良いと言っていた

この理由で大学を選ぶ方が多いのですが非常に危険です。こういった選び方をする人のほとんどが知り合いの中国人に「どの大学が良い?」という極めて曖昧な聞き方をしており、聞かれた中国人も「良いの基準」を確かめずにおすすめしているからです。

聞かれた中国人は、自分の地元で良いところだからとか、自分の兄弟が卒業生だからとか、自分の地元で一番優秀な大学だからとか、その人なりにいろいろ考えてその大学をおすすめしてくれています。ですが、それらの理由があなたにとって必ずしも重要だとは限りません。

その人の地元が乾燥地域で肌が弱い人にとって厳しいところかもしれません。兄弟が卒業生とかどうでもよいことでしょうし、優秀かどうかに興味が無い場合もあるでしょう。

「この3つの条件を満たす大学を教えてほしい」と中国人の友人に尋ね、その3つを満たす大学としてその友人がおすすめしてくれたのならばその大学は留学先として適切です。ですがほとんどの方がそこまできっちりとした聞き方をしていません。

教員が良いと聞いた

その大学に留学した知人から、その大学の教員は教え方が上手だと聞いたのでその大学に留学する。この選び方もかなりの確率で失敗します。

まず第一に、上手いの基準は人によって異なります。例えば授業中に英語を使う教員を「分かりやすい」と評価する人もいれば、せっかく中国に来ているのだから英語は使わずに中国語だけで授業をやってほしいとマイナス評価する人もいます。「上手い、良い」の基準は万人共通ではありません。

第二に、同じ大学でも様々な教員がいます。1つのクラスを担当する教員は平均すると4~6人です。その知人のクラスを担当した4~6人が偶然みんな教え方が上手かったとしても、その大学の他の教員も同様に上手いとは限りません。

そして第三に、上手い教員が自分の授業の担当になる保証はありません。例えばその知人の授業を担当した王先生が教え方が上手かったとします。ですがその大学には王先生の他にも李先生もいれば張先生も郭先生もいるのです。確率で言えばたった1人の王先生に当たらない可能性のほうが高いのです。

条件を明確にする

間違った大学の選び方をご紹介してきましたが、これらに共通することの一つが「基準が不明確」であることです。正しい大学の選び方はその逆で、もっとも重要なポイントは「大学に求める条件を明確にする」ことです。

例えて言うならば、食事をしに行くレストランを選ぶときに漠然とぐるなびを見るのではなく、「イタリアン、駅から徒歩5分以内、予算3,000円、完全禁煙」のようにお店に求める条件を先に決め、それからぐるなびを見てその条件に合うお店を探す、ということです。

留学する大学を選ぶのもこれとまったく同じで、漠然と留学サイトを見ていても適切な大学選びは絶対にできません。まず最初にやるべきことは大学に求める条件の明確化です。では大学に求める条件にはどのようなものがあるのでしょうか? 人によって異なりますが一般的には以下の様なものがあります。

1クラス平均人数

1クラスの平均人数は大学によって異なります。これが少なければ少ないほど授業中の発言機会が増えますし、質問もしやすくなります。

特に日本人は集団の中で発言するのが苦手です。20人のクラスの中で他の19人が見つめる中、何も気にせず躊躇せずに質問できる日本人はなかなかいないのではないでしょうか。ですので発言するのが苦手という方は1クラス人数が少ない大学を選んだほうが良いです。

クラスのレベル分け

初級、中級などクラスが何段階に分けられているかです。もちろん少ないより多いほうが自分に合ったクラスを選びやすくなります。

日本人留学生の人数

日本人が多すぎると日本人同士でつるんでいつも日本語ばかり話しているとか、遊びに誘われて断りきれず勉強時間が減るなどのデメリットが出てきます。他の日本人留学生とのつきあい方を自分でコントロールできる自信がないという方は日本人が少ない大学を選んだほうが良いです。

ただし、日本人がまったくいないのは心細いという方もいるでしょうし、日本人がいることで情報が入ってきやすいというメリットもあります。自分にとってどのくらいが適当なのかで判断すると良いでしょう。

留学生の国籍構成

同じ国からの留学生が多すぎると授業中にあちこちでその国の言葉が飛び交ったりします。また、同じ大学から団体で留学に来ている場合は、仲が良いので授業中に私語が絶えないということもあります。

こういった点から留学生の出身が特定の国に偏っている大学は避けたほうが無難です。

日本語学科の有無

会話力の養成に役立つのが互いの母語を教え合う互相学習です。日本人がこの互相学習をやる場合、相手になるのは日本語を学んでいる中国人です。ですので、留学先の大学に日本語学科があったほうが相手を確保しやすくなります。

日本と違い中国では外国語大学以外に普通の総合大学にも外国語学部があります。大学名が林業大学や工業大学であってもほとんどの大学に外国語学部があり、その半数以上が日本語学科を持っています。

なお、日本語学科の中国人学生よりも日本人留学生の方が多い大学もありますし、外国人留学生と日本語学科の学生のキャンパスが別々に分かれている大学もありますので、そういった点にも注意が必要です。

選択科目

文法や会話など通常の授業以外の時間帯で、太極拳や書道などの選択科目を開講している大学もあります。

ただし、選択科目は最低限の受講希望者が集まらなければ開講されませんので、語学留学生が1,000人前後いる大学を除くとコンスタントに同じ科目が開講されるとは限りません。また、小規模校ではそもそも選択科目をやっていないところも多いです。

1人部屋の確保

留学生寮の2人部屋は、8畳くらいの部屋に机とベッドが2つずつ並ぶ、ホテルのツインルームのようなものです。プライベートはないですし、特に社会人の場合はすでに自分の生活のリズムが確立されていますので、慣れない他人との生活がストレスになることもあります。

また、ルームメイトがいる間は落ち着いて集中して勉強できませんので、学習環境を優先するのであれば1人部屋を確保できる大学を選ぶべきです。

地域

留学終了後は現地採用でそのまま働きたいので上海が良いとか、歴史に興味があるので西安が良いとか、地域で大学を選ぶことも可能です。

ただし地域を限定すると選べる大学の数が一気に減りますので、特にこだわりがないのであれば地域は大学選びの条件に入れないほうが良いです。

条件は数字で表現する

特に留学エージェントや知人などに大学の紹介を頼む場合、形容詞表現は数字に置き換えることをおすすめします。

例えば「1クラス人数が少ない」という条件があったとします。この「少ない」というのは果たして何人のことなのでしょうか。自分は5人くらいをイメージしていても、相手も同じように5人と考えるとは限りません。15人でも少ないほうと考えているかもしれません。

多い、少ない、安い、近いといった形容詞表現は人によって判断基準が異なります。自分が思う「安い」と同じ基準で相手が学費を考えてくれる保証などあリません。ですので相手に条件を伝える場合は、面倒でも次のように形容詞表現を数字に置き換えたほうが正確に伝わります。

条件に優先順位をつける

大学に求める条件を決めたあとにすべきことは、条件の優先順位を決めることです。これは言い換えれば、譲れない条件と妥協できる条件を明確にするということです。

例えば、次の4つの条件を決めたとします。

この4つの条件すべてを満たす大学は中国には存在しません。1クラス人数が平均で10人を下回るのは地方の小規模校ですが、小規模校は留学生の総数が少ないが故に、レベル分けを10段階も設定することは不可能です。選択科目で篆刻のようなマイナー科目を開講できるのは語学留学生だけで1,000人以上在籍する沿海都市部の大規模校だけですが、上海や北京など沿海都市部の大学の学費は最も安くても8,000元です。

つまり、地方の小規模校と大都市の大規模校の双方の良いとこ取りをしようとしているわけで、当然ながら不可能です。この4条件すべてを追い求めている限り、この人は永遠に留学できません。

そこで、次のように4つの条件に優先順位をつけたとします。

予算があるので学費6,000元だけはどうしても譲れない。1クラス人数10人もできれば妥協したくない。でもこの2条件を満たすならばレベル分けは5段階まで妥協する。選択科目はなくても我慢する。

大学に求める条件に優先順位を付け、すべての条件を満たす大学がない場合は下位の条件から順に妥協することで、夢追い人じゃない現実的な選択ができるようになります。

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