中国留学情報

vol.197 おすすめと体験談

お客様からのお問い合わせメール。
よくあるのが次のようなお問い合わせです。


「大学の2年生です。
来年の春から中国に留学したいと思います。
おすすめの大学を紹介してください!」


お客様に注文を付けるのは良くないのでしょうが。
正直、こういうメールが一番困るんです。
だって、ご紹介のしようがないんですよ。


私がこの人について知ってるのは、
●大学2年生
●来年の春から留学
これだけです。
たったこれだけの情報でこの人にベストの大学を紹介。
どうやったらできますか?


もし他にも情報があれば、
例えば、

●何を求めて留学するのか?
●どんな人なのか?
●大学に求める条件は何か?
●予算はどれくらいか?
●寒くても大丈夫か?
●辛いものが苦手とかないか?
●ド田舎でも耐えられるか?

などなどなど。


そういった情報があれば、おすすめのしようもあります。
ですが、
●大学2年生
●来年の春から留学
だけじゃねぇ。
さすがにおすすめしようがありません。


もちろんおすすめしようと思えばできます。
これでも私、中国留学のプロですから、
どんな大学でも魅力的に語ることはお手の物です。

美辞麗句をちりばめて、
この人をその大学に入れる。
やろうと思えばできます。

どこか適当な大学を見繕って、
なんじゃかんじゃと理由をつけて、
うまい具合にその大学に押しこむ。
朝飯前です。



けど、そんな商売でお金もらってもね。
楽しくないじゃないですか。
だから私は紹介しません。

情報量が不十分なお客様には、
具体的な大学名は絶対に出しません。



その代わり、
いつもこんなふうに返信します。

大学に求める条件を、箇条書き、優先順位順でご指示ください。

私はこれが、留学カウンセラーのあるべき姿勢であり、
留学に携わる者が持つべき最低限の倫理だと思っています。




ところが、留学情報サイトを見ていると、

●絶対のおすすめ「○×大学」
●人気ランキングナンバー1「△□大学」

こんなのをよく見かけます。



これ、まったく意味ないです。
断言しますが、100%意味ない。

なぜか?



★基準が示されていない



みなさん、よく考えてみてください。
「絶対のおすすめ」って、
何を基準におすすめしてるのでしょうか?
何を基準にナンバー1って言ってるのでしょうか?


例えば、

●上海のド真ん中にあって便利
●知名度が高い
●観光スポットにも近い

こういう基準で「絶対のおすすめ」だとしましょう。


この大学、
誰にとっても「おすすめ」ですか?
例えばあなたにとってはどうですか?


●極端に便利じゃなくても良い
●知名度は気にしない
●旅行じゃないんだから観光スポットなんてどうでも良い

そんな人にとっては基準がまったくズレている。
「絶対のおすすめ」じゃなくて「どーでも良い」大学です。


さらにさらに、

●上海のど真ん中とか騒々しいところは苦手
●知名度が高いと留学生が多くなりすぎるからイヤ
●観光スポットの近くは物価が高いから困る

こういう人にとっては、
「絶対のおすすめ」どころか、
「絶対に最悪」の大学です。


「基準」がない「おすすめ」なんて、
まったく意味がないんです。



それから、こういうメールもよくいただきます。


「中国人留学生の友だちがいるんですが、
彼女が○×大学がおすすめだと言ってました。
そこに留学しようと思うんですけど、まだ間に合いますか?」


間に合わない方が良いでしょうね。
この人にとっては。


自分で大学選びの基準を作って、
その基準を中国人の友人に示して、
彼女がその基準に照らし合わせておすすめしてくれた。

例えば、1人部屋が取れて、日本人が少なくて、学費が安い。
その基準を友人に伝えた。
そして友人がその基準に合う大学を探してすすめてくれた。
だったらOKでしょう。


でもそんなことをする人ってめったにいません。
ほとんどの人は漠然と、
「留学するんだけど、どの大学が良い?」
って聞いて、
聞かれた相手も基準とか確かめずに、
「あぁ、○×大学が良いよ~」

たいていはこのパターンです。


もちろん、相手は相手なりの基準で選んでます。
中国で有名だとか、偏差値が高いとか、
自分のふるさとに近いとか。
相手なりに選ぶ基準があって、
その基準に合うから良い大学と思ってすすめてくれています。

でも、その基準が自分の求める基準と違ってたらどうしますか?
間違いなく、最悪の留学になりますよ。




「基準が明示されていないおすすめは百害あって一利なし」

このこと、絶対に忘れないでください。




「おすすめの大学」
これにはもう一つとんでもない落とし穴があります。


それは、



★語られていない部分がある



どういうことか?


例えば、友人がある大学がすすめてくれた。
どうしてその大学がおすすめなの?と聞くと、
彼女はこう答えたとしましょう。

●上海のど真ん中にあって便利
●知名度が高い
●観光スポットにも近い


彼女は決してウソは付いていません。
すべて間違いのない事実です。
そして、便利で有名で観光もできる。
うん、この大学良い!ってあなたが決めたとする。



が、しかし、

●学費が高い
●日本人と韓国人で全体の8割
●1クラス人数が平均で25人
●寮の一人部屋を予約しにくい
●中国人学生は郊外の新キャンパスにいるので交流しにくい



実はこれもまたこの大学についての事実だとしたらどうします?
あなたはこの大学を選びますか?
選ぶわけありませんよね?

別に彼女は隠していたわけではありません。
学費が高いことを知らなかっただけかもしれない。
中国人学生の交流とか気にもしてなかっただけかもしれない。

でも、語られていない事実があったわけです。
そしてそれを知らずに留学先を決めてしまったら?
ね、ちょっと怖いでしょ?



これは、中国人留学生や友人や大学の先輩や、
そういった身の周りの人に聞いた場合のことです。

ですが、留学サイトに並ぶおすすめの大学の中には、
良い点だけを並べ、
悪い点は意識的に語っていないものが非常に多いです。
良い点だけを並べ、悪い点を隠した「おすすめ」なんです。



上海のど真ん中にあって便利。
でも学費は高い。
良い点、悪い点すべてを語った上で、

「こういったデメリットも確かにあるが、
便利さや知名度を求める人にはおすすめ」

そう書いてあるならば、
この「おすすめ」には価値があります。



ですが、
ほとんどはそうなっていません。
一方的に「良い点だけ」が語られている。
悪い点は語られていない。
ほとんどのおすすめがそうです。


「おすすめ」には語られていない部分がある。
このことも忘れてはいけません。




それから「人気ランキング」
これもまったく無意味です。


100人が○×大学が良いと評価した。
ならば、「一般論として良い大学」とは言えるでしょう。

ですが、
あなたの基準はその100人と本当に同じですか?
同じかどうかを確かめずに、
違うかもしれないリスクに年間100万を投じますか?



さらに、
人気ランキングには大きな落とし穴があります。
スーパービッグな落とし穴が。



ランキングが人気投票だとして、
投票するのは留学経験者ですよね。


○×大学に留学した山本さん。
この山本さん、留学したことがあるのは○×大学だけです。
○×大学以外は知らないです。
留学期間中に他の大学以外に行く機会なんて皆無ですから。

で、留学ってそれなりに楽しいんです。
どんな大学に行こうと、
それなりに満足できるんです。



他の大学を知っていれば比較ができます。
実は○×大学より良い大学があることも分かる。
そうなれば、▲■大学に投票したかもしれない。

けど、○×大学しか知らない。
そして、それなりに楽しい留学生活だった。
だから、○×大学に投票した。



これが人気ランキングの実態です。
他大学と比較した上での、
純粋な満足度ランキングではないんです。



その結果どうなるか?
実にシンプルです。
留学生数が多い大学が上位に来ます。
だって、投票する人が多くなるから。
すっごい単純でしょ。笑

人気ランキングをよく見てください。
ほとんどが大都市圏のメジャー大学、
つまり、
留学生が多い大学ばかりです。



さらにウラを明かしますと。
人気ランキングを作っているのは、
ランキングを載せている留学業者ですよね。

その留学業者が本当にアンケートを取っているとしましょう。
アンケートに答えているのはその業者のお客さんです。
ってことは、ランキング上位にある大学とは、
その業者のお客さんがたくさん留学している大学です。

なぜたくさん留学しているか。
その業者がたくさんのお客さんにお勧めしているからです。


業者にとって都合の良い大学に勧めている。
いえいえ、決してそういう意味ではありません。

でも、
ランキング上位の大学にお客さんがたくさん留学し、
そのお客さんが投票するからまたランキング上位になる。
つまり、永遠に順位が変わらないランキングです。

それって変でしょ?
時代が変わり、状況が変わり、環境が変わっていく。
なのにランキングが変わらない。

そんなランキングを頼りに留学先を選ぶなんて、
どう考えても自殺行為です。



ついでにもう一つ。

「留学経験者の体験談」
「留学生のブログ」

これらも要注意です。



実際にその大学に留学した人の体験談です。
それに価値がないとは言いません。

ですが、
そこに書かれていることは、その大学の一部です。
そして、書いた人の基準で語られています。


例えば、ブログにこう書かれていたとしましょう。
「文法の先生が最悪」

では、この大学は文法を学ぶには適していないのか?
決してそうとは限りません。


まず第一に、何を基準に最悪と言っているのか。
もしかしたら、授業中に私語をして注意された。
それでムカツイて、最悪って言ってるのかもしれない。

第二に、文法の先生って何人もいるわけです。
ブログの筆者のクラスの先生は最悪かもしれないけれど、
他の先生は最高かもしれない。


ですから体験談やブログを読む際にも、
●何を基準に評価しているのか
●語られていない部分に何があるのか

こういった視点が必要です。



そしてさらに、
体験談やブログに書かれていること、
それらはすべて「過去」の情報です。


このメルマガの読者の方の中にも、
体験談、ブログを読んだことがある方。
それを基に大学を選びかけてる方がいらっしゃると思います。
そんなみなさんに聞いてみたい。



その体験談、ブログが書かれた「日付」を見たことはありますか?



恐らく、ほとんどの人が日付なんて見てないはずです。
ブログに、寮がキレイ♪って書かれている。
あ、そうなんだ、寮がキレイなこの大学良いな~。
そうやって留学先を選んでしまう。

そして現地に着いて呆然とするんです。
ぜんぜんキレイじゃない。むしろボロボロ。
だまされた~!ってプンプン怒っている。

いやいや、怒る資格なんてないですよ。
だってそのブログが書かれたのは10年前ですから。
そりゃ10年も経てばボロくもなるでしょうよ。
日付をチェックしなかったのが悪いんです。
お気の毒ですが、自業自得です。


体験談やブログに書かれていることって、
すべて過去のことなんです。
今でもその通りである保証なんてどこにもありません。

体験談やブログを読むときには、
必ず日付をチェックするようにして下さい。



「おすすめ大学」
「人気ランキング」
「知り合いのおすすめ」
「経験者の体験談」


それらに乗っかった方が楽です。
大学選びで頭を使う必要もありません。


ですが、
楽して得られるものは所詮はその程度です。


中国留学って、貴重な時間と、
ちょっとやそっとじゃないお金を投じるんです。


手を抜かず、楽をせず、
真剣にジックリ時間をかけて、
他の誰でもないあなた自身の基準で、
あなたにベストな大学を選んでください。



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【今週のまとめ】
1) おすすめの基準は人によって違う
2) おすすめには語られていない部分がある
3) 体験談、ブログにも要注意
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