中国留学情報

vol.060 歴史問題

日中の歴史認識問題、
例えば日中戦争、靖国参拝など、
これらについて中国人に聞かれることはあるか?


実際問題としては極めて少ないです。

日々付き合う互相相手とか友達とか、
彼らもさすがに気を使いますしね。


食堂で食事をしてる時とか、
列車で国内旅行をしてる時とか、
あれ、この人、日本人なんだって分かった時とかに、
そういった話題が出てくることがあります。


そういうときにどうすれば良いのか?


私は率直に語るべきだと思います。
自分の考えを。

もちろんある程度の配慮は必要です。
日中戦争が中国人を解放した~!とか、
さすがにひんしゅくものですよね。

ただ、別に遠慮する必要はないです。
自分の考えを率直に述べればよいと思います。


例えば私の場合、
靖国に日本人が参拝することについて、
中国人に四の五の言われる筋合いはない、と言います。
祖国のために戦争で命を落とした先人たちを弔って何が悪い。
あんたら中国人だって弔うだろ、と言います。

A級戦犯合祀についても私は持論があって、
戦勝国が事後法で裁いた東京裁判に正統性はない。
ただ、戦争指導者が一般戦没者とともに祭られるのはおかしい。
負け戦に導いた国家指導者は、国家に対する犯罪者であり、
弔われる資格はない。
A級戦犯という基準ではなく、
あのとき日本を戦争に導いたのは誰かを日本国として明確にし、
A級であるか否かに関わらず、合祀からはずすべき。
中国人に対してもこの通り話します。


それで中国人と怒鳴りあいになるか?
まったくなったことありません。
けっこう熱く語り合います。


一般の中国人って、日本にものすごく興味があるんです。
上海万博でも日本館は連日長蛇の行列でしたし。

その興味津々の日本人が目の前にいる。
日ごろ思っていたことを話してみたい。
考えを聞いてみたい。
純粋にそれが本心だと私は思います。



むしろマズイのは、
興味がない、分からない、
で、語らない。
これは絶対良くないです。



彼ら中国人にとって、
日中戦争はまだまだ過去の問題ではありません。

彼らの両親、祖父母はまだ生きています。
祖父母が日中戦争で殺された。
そんな人が数え切れないほどいます。

そんな人たちに対して、
一方の当事者である日本人が、
知らない、興味ない、分からない。
これはまずい。


なぜまずいか?
逆の立場で考えてみてください。


例えばアメリカ人に原爆どう思うって聞いて、
知らない、興味ない、分からないって言われたら、
なんかムッとくるものがあるでしょ。



それと、
確かに我々今の日本人にとって、
日中戦争って過去のものです。

けどね、
今なぜ我々日本人がそれなりに豊かに暮らせ、
他の国からバカにされることなく生きていけるのか。
考えたことあります?


それって、
日中戦争の当事者だった我々の先人たちが、
戦後必死になってこの国を廃墟から復興させ、
世界第2位の経済大国にしてくれた。
その先人たちのおかげなんです。


その先人たちから、
経済発展というありがたい資産だけ受け継いで、
戦争という負の遺産は受け継がない。
財産は相続するけど、借金は知らんふり。

それってやっぱりおかしいでしょ?
人として。

私はそう思うんです。



ましてや、中国語を学び、中国に留学し、
これから中国に関わって生きていく。

そう思う人が両国の歴史、
それも直近の両国間の戦争について関心がない。
興味もない。何も知らない。

そんな人が日中間に携わるべきではない。



犠牲者がまだ生きている国に行くんです。
戦争がまだ終わっていない国に行くんです。
最低限の知識は仕入れ、
自分なりの考えを持つ。

それが相手に対する礼儀だと私は思っています。


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