もう大昔の話になるのですが。
私が就職活動をしたのは20年ほど前。
日本で就職氷河期という言葉が初めて使われた年でした。
ただそれでも今ほどはひどくなかったです。
去年の新卒の就職率が80%でしたっけ?
今の若い方は大変だと思います。
就活を少しでも有利に戦うために留学する!
そういう方も少なくないようですが。
はてさて、留学は武器になるのでしょうか?
まず大学生の方。
あくまでも私個人の考えですが、
留学だけで有利になることはありえません。
なにせ大昔と違って、
毎年何万という人が留学しています。
中国留学だけで年間1万5千人です。
すでに留学とは特殊な経験ではありません。
ですので、留学すれば有利、なんてことはない。
そこまで甘くないと私は思います。
また、
「就活の面接で語るネタができる」
ってのもねぇ…
付き合う面接官の立場で考えてみてくださいよ。
「国際的な視野が広がりました」
「異文化に対する理解が深まりました」
「自立心が養われたと思います」
同じようなことを語る大学生が、
次から次へとやってくるわけです。
「あぁ、またかぁ」
「でました、留学カタル君」
新鮮味も何もないと思いますよ。
「就活で有利になるから留学する」
これってちょっと違うと私は思うんですよ。
大学生ってまだ若いわけで、
いろいろと好奇心があって当然だと思うんです。
「見てみたい」
「感じてみたい」
「体験してみたい」
そういう本能からくるパッションというか。
就活とかどうでもよくて、
見てみたいから行ってみたい。
それで良いんじゃないんですかね?
変な打算じゃなくて。
それで行ってみて、
思いっきりいろいろ見て感じて体験して。
それが就活で役に立てばラッキーですし、
のちの人生で役に立つことがあるかもしれませんし、
単なる思い出で終わるかもしれませんし。
私個人としては、
若造が変に計算高くなる必要なんてなくて、
見てみたいから行ってみたい。
それで良いと思います。
次に社会人。
こちらはドロドロの打算でけっこうです。笑
なにせ生活がかかってますからね。
まず、仕事を選り好みしない場合。
給料が安くてもよい。
職種は一切選ばない。
中国で働ければそれで十分。
だったら留学すればなんとかなります。
もちろん、語学を身につけるのは絶対条件です。
1年間死に物狂いで勉強するのは最低条件です。
ですが、1年間死ぬ気でやれば、
なんらかの現地採用は可能です。
逆に、職種や給与にこだわりがある場合。
留学経験だけではムリです。
語学力だけでは厳しいです。
中国語をそこそこ話せる人って、
みなさんの想像以上にいます。
さらに日本語を流暢に話す中国人なんて、
掃いて捨てるほどいます。
彼らを押しのけて、
職種や給与で要求を出す以上、
自身にもそれ相応のものが求められる。
当たり前のことですよね。
中国語だけでは武器にならない。
中国語だけで採用されることはない。
まず、この厳しい現実を受入れるべきです。
ではどうすれば良いのか?
私の考えですが、まず自身に専門性がある。
それがあって、プラスアルファで中国語が付いてくる。
そういう考え方のほうが良いと思います。
例えば、
銀行に5年間勤めてきて、
銀行業務について一通りの知識と経験がある。
そういう人が中国に留学して、
まがいなりにも業務で使えるレベルの中国語を身に付けた。
そうなると、中国に進出している日本の銀行とか、
銀行ではないけど金融機関とか。
そういう企業にとって人材としての価値が出てくる。
あくまでもベースとなる知識や業務経験があって、
それプラスアルファで中国語。
そういったスタンスの方がリスクは低いと思います。
ですので逆に言うと、
社会人経験が浅くて、ベースとなる業務経験がないならば、
慌てて留学しないほうが良いと私は思っています。
大学生にしろ、社会人にしろ、
留学がムダになることはありません。
ですが、
留学すればなんとかなる、
というほど甘いわけでもありません。
自分が何を求めるのか、
何をしたいのか、
その上で留学とは何なのか。
みなさんなりにじっくり考えてみてください。
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