中国留学情報

vol.155 反日感情はあるの?

日本人が中国に留学する場合、
反日感情ってやっぱり気になりますよね。

中国って今でも反日感情があるのか?
あります。
100%間違いなくあります。



けど、これってしょうがないんです。
戦争が終わったのが1945年。
まだ70年足らずです。

この70年という年月。
加害者にとっては「もう70年」ですが、
被害者にとっては「まだ70年」です。


考えてみてください。
中国で今80歳の人。
戦争中は小中学生だったんです。

彼らの記憶の中で戦争は実体験です。
家を焼かれた人もいますし、
家族を亡くした人もいます。
そんな人達にとって、
戦争は決して風化した思い出ではありません。


今の20代の若者たちにとっては、
もちろん実体験の戦争ではありません。
ですが、彼らの祖父母は実体験してきた人達です。
彼らにとって日本とは、
祖父母の家族を殺した国なんです。


また、中国のお年寄りは被害者側ですので、
自分の子や孫に戦争の話をします。
「自分の家族は日本兵に殺された」って。

これに対して、日本のお年寄りは加害者側です。
果たして自分の子や孫に話すでしょうか。
「自分は戦争で中国人を殺したんだ」って。

日本の若者にとって戦争は過去のものです。
でも中国の若者にとっては、
決して完全な過去の話ではない。


そんな今の中国で、
反日感情がゼロになるわけがないですよね。

自分が逆の立場に立ってみてください。
今突然、ベトナムが日本に攻めてきたとします。
で、自分の父親がベトナム兵に殺された。
70年後、自分が90歳くらいになったとき、
ベトナムに対して複雑な感情ゼロになれますか?
私には無理です。



あの戦争は侵略ではなかったとか、
江沢民の歴史教育が悪いとか、
いろいろ言いたい人もいるでしょう。

けど、そんなの理屈の問題です。
仮にそれが正しいとしても、
反日感情があるのは厳然たる現実です。

中国に行って、中国の歴史教育を受けた若者を前に、
「君たちの受けた教育は間違ってたんだ」って話し、
説得することができますか?
できないでしょ?

だったら、良し悪し善悪は別の話として、
現実に反日感情が残る国に行くんだ、
という意識は持って当然です。



それから、
「反日感情が少ない地域はどこですか?」
というお問い合わせをよく受けます。

そんな地域ありません。
中国全土どこに行こうと、
反日感情は必ずあります。


反日感情というと、
みなさん、東北三省や南京をイメージされるかもしれません。
戦争があったのはそこだけだと勘違いしてませんか?

北京や青島、広州は言うまでもなく、
西安や武漢、重慶など内陸都市でも戦闘が行われています。


上海や大連とか香港とか、反日感情がなくて、
至って親日的なところだとか思ってませんか?
上海って戦争で無傷だったとか思ってませんか?

実は上海って日中間の戦闘が何度も起こっています。
1937年の第2次上海事変では、軍人、民間人合わせて、
20万人以上が犠牲になったと言われています。

第二次大戦の沖縄戦。
沖縄戦全体での死者が日米両軍、沖縄県民を含め、
全部で20万人と言われています。
それを上回る犠牲者が出たのが上海の街なんです。

今の80代以上の上海人って、その時の生き残りなんです。
決して反日感情と無縁ではないんです。



我々は日本人です。
中国大陸で戦った日本人の子孫です。
その我々が反日感情から逃げることはできません。
それが日本人として生まれてきた我々の宿命です。

我々は先人たちから多くのものを受け継いできました。
世界有数の経済大国であり、
数々の科学分野で先頭を走る技術大国であり、
ビザなしで世界中の大半の国に渡航できる信用度の高い国です。
それらはすべて、先人たちが築き上げ、
先人たちから我々が受け継いだものです。

都合の良い部分だけ受け継いで、
都合の悪い部分は受け継がない。
そんな身勝手は許されません。

貯金も借金もともに相続する。
当たり前のことです。



と言っておいて今さらなんですが、
反日感情が留学生活に影響するか?というと、
実はまったくと言って良いほど影響しません。


まず中国人は、
戦争を起こした国家としての日本国と、
1人の人間としての日本国民を分けて考えます。

日中戦争は一部の軍国主義者が起こしたもので、
日本人もまた、その被害者である。
これが中国共産党の正統な歴史認識であり、
その教育が戦後60余年に渡って徹底されてきました。
江沢民時代でさえ、この原則は曲げられていません。

ですので、多くの中国人は、
戦争を起こした日本国が嫌いだと言いつつ、
目の前にいる日本人を嫌うということはしません。


また、若者の政治離れは中国も同じです。
イデオロギーとしての反日よりも、
目の前にいる日本人への興味のほうが上です。

ましてや、互相学習などで交流する中国人学生は、
そもそも日本に興味、好感を持っているわけです。


ですので、日々の留学生活の中で、
反日感情が原因で嫌な思いをすることは、
ほとんどありません。

でも、100%ゼロでもありません。
それはしょうがないです。
我々は日本人ですから。


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