大学選びのポイントは次の3つです。
●具体的な条件で選ぶ
●条件に優先順位をつける
●評判や体験談をあてにしない
それでは、1つずつ見ていきましょう。
1.1クラス平均人数
少ない方が発言機会も増えますし、質問もしやすい。特に日本人は大勢の前で発言するのが苦手ですよね。20人クラスで19人が見つめる中で、「先生、今のところよく分からないので、もう一度説明してください。」と言えるか? ただ座って聞いてるだけの受け身の授業にならないためにも、発言するのが苦手な人は1クラス人数が15人以下、特に苦手な人は10人以下の大学を選ぶべきです。
2.レベル分け
初級、中級、高級など、クラスが何段階に分けられているか。多ければ多いほど、自分のレベルにあったクラスを選びやすくなります。
3.日本人留学生の人数
授業が終わったらいつも日本人同士で団体行動。気がつくと、授業中以外はほとんど日本語だった。これでは留学した意味がないですよね。かといって、誘われるとなかなか断りにくい。そんな人は日本人が少ない大学を選ぶのが良いでしょう。
4.留学生の国籍構成
同じ国の留学生が多すぎる、例えば、韓国人が圧倒的だと授業中にあちこちで韓国語が聞こえるなど。また、同じ大学からの団体が多い場合は、仲が良いので授業中に私語が絶えないということもあります。
5.日本語学科の有無
日本語を学ぶ中国人学生と互いの言語を教えあう「互相学習」。日本語学科があったほうが相手を確保しやすいですよね。中国は林業大学や水産大学と名乗っていても大半の大学に外国語学部があり、その半数以上が日本語学科を持っています。逆に、外国語大学でも留学生と中国人学生が別のキャンパスに別れている場合があるので、注意が必要です。
6.1人部屋の確保
留学生寮の2人部屋は、8畳くらいの部屋に机とベッドが2つずつ並ぶ、ホテルのツインルームのようなものです。プライベートはないですし、ルームメイトがいる間は落ち着いて集中して勉強できる環境ではありません。特に社会人の場合は、すでに自分の生活のリズムが確立されていて、慣れない他人との生活がストレスになる場合もあります。
7.選択科目
太極拳や書道、また、HSK補講や発音矯正などの科目を設置している大学もあります。選択科目はある程度の受講者が集まらなければ開講されません。小規模校の場合、先学期あった科目が今学期はなくなったり、そもそも選択科目自体をしていないこともあります。
8.地域
寒いのが苦手、現地で就職先を見つけたい、気管支が弱いので乾燥したとこはダメ、、歴史に興味がある、などなど。
9.大学の特長
毎日マンツーマンレッスンがある、中国人学生と同じ寮で生活できる、ホームステイができるなどなど。数は多くありませんが、独自の特長を持った大学もあります。
残念ながら、すべての条件を満たすことは難しいです。1クラス平均人数が少ないのは小規模校に多い。小規模校は留学生の総数が少ないので、クラスのレベル分けも少なくなる。といった具合です。
そこで、条件の優先順位が重要になってきます。どの条件は譲れないのか、どの条件ならば妥協できるか。それを明確にすることで、大学を選びやすくなります。
評判や体験談をあてにしてはいけません。これ、非常に大切です!
☆おすすめの大学は人によって違う
大学に求めるものは人によって違います。ならば、おすすめの大学も人によって変わってきます。例えば、
◆日本並みの便利な生活をしたい
こういった人には北京、上海がおすすめです。ですが、
◆気管支が弱い
という人にとって、乾燥が激しい冬の北京は最悪。
◆静かな街で落ち着いて勉強したい
という人には、上海は真っ先に避けるべき街です。大学についても同様で、
■日本人がいない少人数クラスが良い
という場合は、地方の小規模校が良いでしょうが、
■HSK補講があることが絶対条件
ならば、大規模校です。小規模校はHSK補講をしていないところが多いです。
このように、人によって適した大学は異なります。ですから、誰にも共通の「おすすめの大学」というものは存在しません。「人気大学ランキング」なんて、まったく無意味です。
☆人の評判・体験談
いったい、何を基準に評価しているのでしょうか? ある人が「○×大学ってすごく良いよ!」と言ったとしましょう。その理由が、
◆運動会など行事が多くて楽しい
◆日本人ゼロなので日本語を使わない
だったとしたら。
■短期留学なので勉強に専念したい
という人は、無駄なことに時間を使わないで欲しいと思うでしょう。
■日本人ゼロはさみしい
という人にとっては、悪夢のような大学です。
人の評判や体験談は、あくまでも他人の価値基準で語られるものです。あなたにもそれが合うとは限りません。評判や体験談を一切あてにするな、というわけではありません。なぜ良いのか、そう判断した基準をしっかり見るべきなのです。
☆先生が良い
これを理由に大学を選ぶのは非常に危険です。まず第一に、今までの話と重複しますが、
★良い・悪いの判断は人によって違う
授業中に英語で説明する先生を「分かりやすくて良い」と評価する人もいれば、「せっかく中国に来たのだから中国語だけ使ってほしい」と思う人もいます。
第二に、
★同じ大学でもいろんな先生がいる
どんな大学でも、20年のベテランもいれば、大学を出たばかりの新人もいる。定年退職した元高校教師や大学院生のアルバイトもたくさんいます。ある先生が教え方が上手いからといって、その大学の全ての先生が上手いとは限りません。
第三に、
★その先生にあたるとは限らない
例えば王先生の評判が良かった。その理由を聞いてみたら、確かに自分にピッタリの先生だ。でも、大学には何人も先生がいます。あなたのクラスを王先生が担当する保証なんてないですよね。
留学の成果を左右するのは、「教師・授業」と、1クラス人数などの「環境条件」です。「教師・授業」はどうしても当たりはずれがあります。みなさんが高校生の頃もそうだったのではないでしょうか。
であるならば、「環境条件」重視で大学を選ぶべきです。自分が留学に求めるもの、自分の性格や特性、自分が置かれている状況などから、自分にとって重視すべき条件を明確にする。そして、その条件に合った大学を探す。これこそが、成功する留学への第一歩であり、最重点作業なのです。