前回まで39回に渡って大学選びについて語ってきました。39回かぁ。我ながらオタクですね。苦笑)最初の頃の内容を忘れた方もいるでしょうし、途中からこのメルマガを読んでらっしゃる方もいます。ということで、これから5回に渡って、一番重要なところをまとめてお話します。今回は大学選びの基本的な考え方についてです。
大学選びの理由で多いのが、「知り合いの中国人がこの大学が良いと言ってた。」、「先輩から勧められた。」、「良い大学だって体験談に書いてた。」というものです。はっきり言いますが、絶対にしてはいけない選び方です。
まず、中国人は必ず自分の出身地にある大学を勧めます。ほとんど例外なくそうです。中国人は非常に郷土愛が強いです。日本人なんかと比べ物になりません。ですから、本当にその大学が良いんじゃなくて、自分の郷土にあるから勧めているわけです。もちろん、悪意はありません。ですが、根拠もありません。
中国人が「この大学は1クラス人数も10人以下だし、教師の7割は海外教育の経験もあるし、日本人も全体の10%未満で、寮費も北京に比べて2割安い。」みたいに、具体的根拠を持って勧めてきたら話は別です。
ですが、「●●市は本当にキレイで、物価も安くて住みやすいし、人も良い人ばっかりだから、ここに留学するのがおすすめだよ。」って感じで言ってきたら、絶対アウト。中国すべての街が●●に当てはまります。だって、主観基準でしょ?
北京人に「北京って物価高いね」って言ってみてください。まず間違いなく、「上海より安いよ」と返してきます。上海人に「上海って物価高いね」って言ってみてください。「香港より安いよ」って言ってきます。笑)どんな屁理屈をつけてでも、必ず自分の故郷を良く言います。それくらい郷土愛が強いんです。
先輩のおすすめ、体験談。これも当てにしたらダメです。ダメは言いすぎですね。根拠をしっかりマークする必要があります。「この大学は良い」いったい何を根拠に言っているのか?
例えば、
●大都会で生活に便利
だったら、都会が苦手で、小さな町が好き。そういう人にとっては全然良くない大学です。
●全室1人部屋なので必ず1人部屋を確保できる
2人部屋でコストを下げたいという人には、最悪この上ない大学です。
●日本人が一人もいないから中国語にドップリ
寂しいからたまには日本人と話をしたい。そんな人には逃げ出したくなるような大学でしょ?
また、人のおすすめ、体験談の大きな問題点は、「ごく一部の情報しか語られない」ということです。
「学費が1学期5000元と安くて、留学生が少ないから1人部屋確保できて、1クラス人数も平均で5人以下。ほんとに良い大学だよ♪」ところが語られていない事実がある。
「留学生が少ないから、ゼロスタートと初級の2クラスしかない」中級レベルの人が行くと大変なことになります。「炭鉱の町にあるので、冬は粉塵がすごい」気管支系の弱い人は生きていけません。「外国語学部に日本語学科がない」互相相手確保で苦労します。
知り合いの中国人に意見を求めるのも良い。先輩の話を聞くのもOK。体験談もどんどん読めば良い。ですが、それだけでは情報量として全然足りない。情報としての客観性にも欠ける。大学選びで何よりも重要なのは、「選ぶ基準を自分の中で確立する」ことです。何を基準として自分は大学を選ぶのか。何をポイントとするのか。まずはこれが必要なんです。
その上で、北京以外出身の中国人に、「冬の北京って結構乾燥するの?」と聞く。先輩に、「その大学、日本人の比率どれくらいでした?」とたずねる。体験談を読んで、日本語学科があるかをチェックする。まずは自分の基準を明確にしましょう。
【今回のまとめ】
1)人のおすすめ、体験談で決めてはダメ
2)受け身の大学選びでは成功しない
3)自分の大学選びの基準を明確にする