「北京語を勉強するので北京に留学する」、「標準語がキレイなので北京」、「訛りがないほうが良いので東北」。これ、微妙です。
まず、「北京語は標準語ではありません」。北京語とは北京の方言のことです。日本で例えていうならば、江戸っ子のべらんめぇ口調と、日本の標準語が違うのと同じです。ですから、標準語であることを理由に北京を選ぶのは、まったくの間違いです。
「普通話は北京語がベースなのでは?」それも違います。普通話が北京発音をベースにしているのは事実です。ですがそれは、北京語の発音ではありません。「北京官話」という官僚言葉がベースです。北京の一般庶民の発音がベースではありません。
また、「訛り」これも微妙なんですよね。まず、東北3省すべてが訛りなしではありません。例えば日本人に人気の大連ですが、猛烈に訛りがあります。本当に訛りがないのは、私の知る限り、ハルビンと長春くらいです。それでもer化音はけっこう耳につきますが。
逆に言うと、9割以上の中国人は訛ってるわけです。で、訛った中国人同士で会話が成り立ってるんです。
私は大学取材でよく夜行列車で移動するんですが、例えば武漢発成都行きの列車だと、車内は湖北人と四川人ばかりです。その両者が普通に会話を交わしています。そこに出張中の北京人が加わり、旅行中の上海人も首を突っ込む。湖北、四川、北京、上海、4ヶ国語ならぬ、4訛り会話が成り立つんです。これが現場の現実です。
ましてや、留学生を教える教師は、間違いなく標準的な普通話を話します。キャンパス内の大学生は若い世代ですので、彼らもそんなにひどい訛りではありません。
少々訛っても通じるのが中国語です。キレイな標準語圏であることが悪いという意味ではありません。ですが、留学先選びの条件としては、間違いなく優先順位は下位です。
【今回のまとめ】
1)北京語は標準語ではない
2)中国全土どこでも訛っている
3)訛っていても中国語は通じる
4)訛りのあるなしは重点条件ではない