「正しい標準語を勉強したいので、北京に留学する。」
これ、よく聞く話です。はてさて、本当にそうなのでしょうか?
中国の標準語は「普通話」と呼ばれます。これは1950年代に作られたものです。中国全土で共通とされる言葉を作ったわけで、いわば、人工言語です。
この際、「発音は北京語を標準とする」と定められました。このため、「普通話の発音=北京語の発音」と理解する人が少なくありません。
ですが、これは正しい解釈ではありません。実は標準とされたのは「北京官話」という政府役人が使う発音体系であって、一般の北京庶民が使う「北京語」ではないのです。
北京語(正しくは、北京訛りの普通話)は巻き舌が強く、er化が顕著なのが特徴です。
例えば、「今日」の意味の「今天(jintian)」は、北京語では「ジル」と発音します。「今天、明天、昨天」を連続すると、「ジル、ミル、ゾル」となります。笑
本当に標準的な普通話が使われているのは、黒龍江省、吉林省の都市部のみと言われています。大連など遼寧省でも何らかの訛りがあります。
いずれにしても、「キレイな普通話を学びたいから北京」というのは、ありえない選択方法です。
もちろん、だからといって北京がダメ、という話ではありません。中国でもっとも大学が集中し、選択肢の幅が広い。交通の便が良い。発達した都市なので、日本人にも暮らしやすい、などなど。北京の良い点は多々あります。
【今回のまとめ】
1)北京の普通話も訛ってる
2)標準語=北京語は間違い