「上海は上海語が話されてるから留学に適さない」
これも根強い誤解です。この誤解を解く鍵、それが今回のテーマです。
日本では「方言」と「訛り」は同意語です。ところが、中国ではこの2つは別物です。
まず、方言。これは上海語や広東語といった、その土地土地にある言語です。普通話とはまったく異なります。
例えば、上海語で「日本人」は「サバニン」と発音します。また、広東語は声調が13声まであります。これら「方言」は別に勉強しないと聞き取れません。
これに対して、訛り。これは、発音や四声の微妙な違いです。
例えば、「我是日本人」の「是」。普通語では「シィ」ですが、南方では「スゥ」に近い発音になります。四声の違いは先週お話したとおりです。この「訛り」は慣れてくると聞き取れるようになります。
そこで、今回冒頭で挙げた誤解、「上海は上海語が話されてるから留学に適さない」。これは、方言と訛りを混同した見方です。
確かに、上海人同士は上海語で会話します。これは留学生には聞き取れません。ですが同時に、彼らは普通話も話します。上海訛りの普通話を。そして、これは、慣れれば聞き取れるようになります。
また、普通話における訛りは、日本の標準語と大阪弁の違いよりも小さいものです。
さらに、留学生を教える教師は、普通話の試験を受けて合格することを求められます。ですから、一部のアルバイト教師を除いて、教室内で使われるのは、正しい発音の普通話と考えてもらってかまいません。
上海語を理由に上海を避ける必要はありません。他の地域についても同様です。
【今回のまとめ】
1)「訛り」と「方言」はちがう
2)「訛り」は慣れれば聞き取れる