決して外国語大学が悪いという話ではありません。「ご注意!」って話です。
外国語大学は外国語を教える教育機関。だから、中国語を学ぶ上でも適している。このように考える方がいらっしゃいます。ここでみなさんに知っておいていただきたいのですが、中国の大学の中で、留学生部っていうのは●独立した別の部門であること。そして、●大学本体とは必ずしも連携していないという事実です。イメージとしては、東大のキャンパス内にNOVAがある
ですから、外大だからといって、大学本体の外国語教育のノウハウを留学生部も共有しているとは限らないのです。私が取材した限りで言うと、そういった連携をしている大学って外大以外も含めて皆無です。
これって本当にもったいないんですよね。例えば、アパレルに強い大学がその知識を活かして、アパレル業界で働く日本人に中国語を教える。検針とかカットソーとか専門用語を教えたり、生産工程で必要なやり取りの会話の練習をしたり。はたまた、システムエンジニアを養成している大学が、日本人のブリッジSEに中国語を教えるとか。私としてはぜひぜひそういうことをやって欲しいのですが。そうすれば、社会人にとっては留学の選択肢が一気に広がるんですけどねぇ。
いずれにしても、外大だからといって、留学生部が外国語教育の特殊ノウハウを持っている、とは限りません。
それともう一つ。これは本当に注意が必要です。
「互相学習」 みなさん聞いたことがあると思います。中国語を学ぶ日本人と、日本語を学ぶ中国人が、相互学習をすることです。「外大だから日本語を学ぶ中国人学生がたくさんいる。だから、互相相手を確保しやすい。」果たして、本当にそうなのか?
中国に外国語大学は8校あります。
◆大連外国語学院
●北京外国語大学
●北京第二外国語学院
●天津外国語学院
◆西安外国語大学
◆上海外国語大学
●広東外語外貿大学
●四川外語学院
このうち、◆マークの3校は、☆留学生と中国人学生が別のキャンパスで学んでいます。
中国では近年の大学生数の増加で、もとのキャンパスでは狭くなり、郊外に新キャンパスを作る大学が増えています。この際、「留学生は生活に便利な市内の旧キャンパスの方が良いだろう」という、いらん配慮をしてくださいまして(ホント、大迷惑!)、留学生…市内の旧キャンパス、中国人学生…郊外の新キャンパス、と分離される例が出てきています。互相学習しにくくなって、スーパー迷惑なんですよね。怒
西安外大は新校区までバスで30分強。これはまだ何とかなるのですが、(それでも面倒ですが)、上海外大は地下鉄2本を乗り継いで約1時間、大連外大に至っては、バス2本乗り継ぎで1時間半以上かかります。ですから、「外大=互相相手を見つけやすい」とは単純には言えないわけです。
また、中国の大学は大半の大学に外国語学部があります。「○×水産大学」と名乗っていても、外国語学部日本語学科がある。だから、外大にこだわる必要って実はないんです。
外大、それから先週取り上げた名門大学彼らの長所は「留学生教育の経験が長い」ことです。中国の外国人留学生受入れは1950年秋に始まり、70年代後半から本格化しました。この初期の段階で受け入れ先となったのが、名門大学や外大、そして師範系大学です。ですからこれらの大学は留学生教育の豊富な経験とノウハウを持っていることは確かです。
【今回のまとめ】
1)名前が「外大」だから良いとは限らない
2)留学生が別キャンパスの外大もある