現地調査日:2009年05月14日
最終更新日:2009年05月19日
※09年春学期実績:09年05月05日更新
以下、07年04月03日掲載
●成都市南部にある師範系大学。中国の大学はどこも緑が豊富だが、ここは特に木々に囲まれて美しい。
●授業開始日は決まってはいるが、1年間いつでも入学できる。授業料も1週間刻みで決まっているので、時間に融通が利かない留学希望者も門をたたくことができる。
●この大学のカリキュラム自体に特に目立ったものはない。テキストは北京語言の漢語教程シリーズ1本で、科目も文法と聴力、一部クラスに閲読があるだけ。作文や新聞講読など多彩な科目を望むことはできない。一言でいうと、平凡なカリキュラムだ。
●その平凡さを打ち消してあまりあるのが、この大学独自の「3+1」と呼ばれる教育システムである。「3」は毎日4コマのうちの3コマをクラスでの集合教育で行うことを表す。そして「1」は毎日1コマのマンツーマンレッスンを表している。
●3コマの授業は毎日午前にクラスで行われる普通の授業だが、これが終わったあと、主に午後に毎日マンツーマンレッスンを受けられるのだ。レッスンの相手は主に中国語の教師とこの大学の大学院生が受け持つ。マンツーマンで会話の練習を行う以外にも、授業で分からなかったことを聞いたり、発音矯正をしてもらったりもできる。
●大学院生はもちろんプロの教師ではないが、近い年齢の相手と会話を楽しみながら学ぶこともできるし、この大学は師範大学で対外漢語専業(中国語教師を育てる学科)があるので、将来の中国語教師のタマゴと発音矯正をすることもできる。
●さらに、この大学も他の大学同様、「師範大学」と名乗ってはいるものの実態は総合大学なので、例えば経済に興味があるので経済学部の学生を相手にしたいなどのリクエストにも柔軟に対応してもらえる。
●会話の練習といえば「互相学習」を思いつく人が多いと思う。確かに互相で中国人学生と会話の練習をすることは可能だが、現実問題として中国に留学に来て月曜から金曜まで毎日互相をしている留学生がどれくらいいるかご存知だろうか? 実は皆無に等しい。大きな大学になればなるほど互相の相手を確保できにくくなるし、仮に確保できても毎日相手のスケジュールを押さえることは簡単ではない。
●この大学では教室での授業を1コマ削る代わりに、毎日強制的にマンツーマンで会話の練習ができるように仕向けている。このような大学は私の知る限り中国でここ一校だけである。
●都市部の大学で教師にマンツーマンを頼むと、1時間100元前後取られることもある。それを毎日頼めるというのは、かなりお買い得感がある。
●前述したとおり、マンツーマンレッスン以外は特筆すべき点がないごくごく普通のカリキュラムである。しかし、この毎日行われるマンツーマンレッスンこそ、中国の内陸にあるこの大学を選ぶポイントとなり得るだろう。
以下、08年03月12日加筆
●留学生数が約10人増えたが、クラスを1つ増やしたため、1クラスの平均人数は約10人と依然として少ない水準に抑えられている。レベル数も8段階と非常に多い。なお、「実用班」は会話に重点を置いた、主に欧米人を対象としたクラス。
●日本人留学生が5人に増えたが、比率的にみれば全体の10%に満たない。どうしても日本人が1人もいない大学が良いというなら別だが、このレベルであれば日本人が少ないと見なせる。
●留学生寮の収容人数が75人に対して、留学生総数が約80人なのだが、学外に部屋を借りている学生も多いためまだ余裕がある。取材時点でも1人部屋にまだ空室があった。9月からはさらに留学生寮を増やす予定で、間に合うか否かに心配は残るが、入学手続に遅れてこない限り、かなりの確率で1人部屋を確保できるだろう。
●マンツーマンレッスンの最大の問題点は、時が経つにつれて話す話題がなくなってくることである。これについては、まずは話題を用意するなり、発音矯正など課題を設定するなりの努力が本人に求められることはいうまでもない。ただ、それでもマンネリ化してくる可能性は否めない。取材時にその危険性を指摘し、対策を要望したところ、マンツーマンで使う教材を準備したり、途中で教師を入替えるなどの方策を検討するとのこと。今後のさらなる改善を期待したい。
●この大学には外国語学部日本語学科がない。この点はマンツーマンレッスン以外に互相相手を確保したい場合にネックになるのだが、この点については希望する学生には留学生部が責任を持って互相相手を紹介するとしている。実際、今学期から入った日本人留学生には、全員に到着初日から互相相手が紹介されている。
●唯一のマイナスポイントは韓国人の比率が高いこと。韓国人に限らず特定の国籍の学生の比率が高まると、例えば10人のクラスの中で、韓国人8人、日本人、フランス人各1人となり、授業中に韓国語が耳に入るという状態になりかねない。
●ただ、すべての面で完璧な留学先というものは現実には限りなくゼロに近いわけであり、この大学の他のメリットを踏まえたときには妥協できるポイントといって良いのではないだろうか。
●1年留学の学費が従来は14,880元であったが、14,050元に割引措置が取られた。
以下、09年05月13日加筆
●通貨下落の影響で韓国人留学生が激減した。しかし、クラス数は7クラスを維持したため、1クラス人数は約4人となった。レベル数も多いので、留学するのに良い環境である。今が狙い目。
●09年秋学期から外国語学部に日本語学科が開設されることになった。今までは互相相手を見つけるのが大変だったが、この問題が解決される。別キャンパスになるが、バスで20分ほどの距離。
※四川師範大学のカリキュラム、費用見積り、写真などはPCサイトをご覧ください。
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以下、07年04月03日掲載
●成都市南部にある師範系大学。中国の大学はどこも緑が豊富だが、ここは特に木々に囲まれて美しい。
●授業開始日は決まってはいるが、1年間いつでも入学できる。授業料も1週間刻みで決まっているので、時間に融通が利かない留学希望者も門をたたくことができる。
●この大学のカリキュラム自体に特に目立ったものはない。テキストは北京語言の漢語教程シリーズ1本で、科目も文法と聴力、一部クラスに閲読があるだけ。作文や新聞講読など多彩な科目を望むことはできない。一言でいうと、平凡なカリキュラムだ。
●その平凡さを打ち消してあまりあるのが、この大学独自の「3+1」と呼ばれる教育システムである。「3」は毎日4コマのうちの3コマをクラスでの集合教育で行うことを表す。そして「1」は毎日1コマのマンツーマンレッスンを表している。
●3コマの授業は毎日午前にクラスで行われる普通の授業だが、これが終わったあと、主に午後に毎日マンツーマンレッスンを受けられるのだ。レッスンの相手は主に中国語の教師とこの大学の大学院生が受け持つ。マンツーマンで会話の練習を行う以外にも、授業で分からなかったことを聞いたり、発音矯正をしてもらったりもできる。
●大学院生はもちろんプロの教師ではないが、近い年齢の相手と会話を楽しみながら学ぶこともできるし、この大学は師範大学で対外漢語専業(中国語教師を育てる学科)があるので、将来の中国語教師のタマゴと発音矯正をすることもできる。
●さらに、この大学も他の大学同様、「師範大学」と名乗ってはいるものの実態は総合大学なので、例えば経済に興味があるので経済学部の学生を相手にしたいなどのリクエストにも柔軟に対応してもらえる。
●会話の練習といえば「互相学習」を思いつく人が多いと思う。確かに互相で中国人学生と会話の練習をすることは可能だが、現実問題として中国に留学に来て月曜から金曜まで毎日互相をしている留学生がどれくらいいるかご存知だろうか? 実は皆無に等しい。大きな大学になればなるほど互相の相手を確保できにくくなるし、仮に確保できても毎日相手のスケジュールを押さえることは簡単ではない。
●この大学では教室での授業を1コマ削る代わりに、毎日強制的にマンツーマンで会話の練習ができるように仕向けている。このような大学は私の知る限り中国でここ一校だけである。
●都市部の大学で教師にマンツーマンを頼むと、1時間100元前後取られることもある。それを毎日頼めるというのは、かなりお買い得感がある。
●前述したとおり、マンツーマンレッスン以外は特筆すべき点がないごくごく普通のカリキュラムである。しかし、この毎日行われるマンツーマンレッスンこそ、中国の内陸にあるこの大学を選ぶポイントとなり得るだろう。
以下、08年03月12日加筆
●留学生数が約10人増えたが、クラスを1つ増やしたため、1クラスの平均人数は約10人と依然として少ない水準に抑えられている。レベル数も8段階と非常に多い。なお、「実用班」は会話に重点を置いた、主に欧米人を対象としたクラス。
●日本人留学生が5人に増えたが、比率的にみれば全体の10%に満たない。どうしても日本人が1人もいない大学が良いというなら別だが、このレベルであれば日本人が少ないと見なせる。
●留学生寮の収容人数が75人に対して、留学生総数が約80人なのだが、学外に部屋を借りている学生も多いためまだ余裕がある。取材時点でも1人部屋にまだ空室があった。9月からはさらに留学生寮を増やす予定で、間に合うか否かに心配は残るが、入学手続に遅れてこない限り、かなりの確率で1人部屋を確保できるだろう。
●マンツーマンレッスンの最大の問題点は、時が経つにつれて話す話題がなくなってくることである。これについては、まずは話題を用意するなり、発音矯正など課題を設定するなりの努力が本人に求められることはいうまでもない。ただ、それでもマンネリ化してくる可能性は否めない。取材時にその危険性を指摘し、対策を要望したところ、マンツーマンで使う教材を準備したり、途中で教師を入替えるなどの方策を検討するとのこと。今後のさらなる改善を期待したい。
●この大学には外国語学部日本語学科がない。この点はマンツーマンレッスン以外に互相相手を確保したい場合にネックになるのだが、この点については希望する学生には留学生部が責任を持って互相相手を紹介するとしている。実際、今学期から入った日本人留学生には、全員に到着初日から互相相手が紹介されている。
●唯一のマイナスポイントは韓国人の比率が高いこと。韓国人に限らず特定の国籍の学生の比率が高まると、例えば10人のクラスの中で、韓国人8人、日本人、フランス人各1人となり、授業中に韓国語が耳に入るという状態になりかねない。
●ただ、すべての面で完璧な留学先というものは現実には限りなくゼロに近いわけであり、この大学の他のメリットを踏まえたときには妥協できるポイントといって良いのではないだろうか。
●1年留学の学費が従来は14,880元であったが、14,050元に割引措置が取られた。
以下、09年05月13日加筆
●通貨下落の影響で韓国人留学生が激減した。しかし、クラス数は7クラスを維持したため、1クラス人数は約4人となった。レベル数も多いので、留学するのに良い環境である。今が狙い目。
●09年秋学期から外国語学部に日本語学科が開設されることになった。今までは互相相手を見つけるのが大変だったが、この問題が解決される。別キャンパスになるが、バスで20分ほどの距離。
※四川師範大学のカリキュラム、費用見積り、写真などはPCサイトをご覧ください。